海部南部広域事務組合の調査員研修の講師をしてきました。介護保険の調査員のみなさんの研修です。午後の一番眠い時間,ポカポカした暖かい会場でした。それでもみなさん熱心に聞いてくださいました。ありがたいことです。

介護と相続は,①被介護者が被相続人,介護者が相続人またはその家族であるなど,登場人物がほぼ同じであること。②介護の後に相続が必ず繋がっていること。このため一つの塊として考えたくなるものです。しかしバックボーンになっている法律が別々です。親族法(扶養義務・互助義務)と相続法ということになります。そして僅かに細い細い糸で結んであるのが,寄与分ということが出来ると思います。遺産分割協議と同じように介護協議が必要です。また均分相続と同じように均分介護です。一番困るのは,介護の負担を相続で清算することを,相続が始まる前から言い出したり約束したりすると大変ですね。

ご質問があれば事前にご連絡をいただきたい旨のお願いをしましたら,たくさんのご質問をいただきました。お話しのなかで解説させていただきましたが,どれも実際にあった話ばかりなので臨場感がありました。(ちょっとリアルなので,ここでの紹介は控えますが)調査員の皆さんも,介護の後の相続について放置する訳にいかない状況があるので,こんな研修になったのでしょう。是非,扶養義務のある皆さん全員に集まってもらって,今後の介護の方向性や,負担について定期的に話し合う場を作るよう,ご指導いただきたいと思っています。

「介護はしないが遺産は欲しい」は,元家庭裁判所調停委員の槇村脩平氏の著書です。親を押しつけあったり、たらい回しにしたり、逆に遺産の独り占め狙いから囲い込む者、介護と相続、調停室内で繰り広げられる骨肉の争い。こんなことが記されています。既に絶版ですが,中古本でしたら買うことも可能なようです。