4月に日本相続学会オープンセミナーで,廣田尚久弁護士の「和解という知恵」というお話しをお聞きした時に,共時性の原則というお話しがあり,興味を持ちました。調べ始めましたら,ユング心理学を経由して河合隼雄先生の「こころの処方箋」を読むことになりました。
河合隼雄先生といえば,以前の文化庁長官です。そして,霊長類学者で京都大学霊長類研究所の元所長・日本モンキーセンター元所長の河合雅雄先生のお兄さんということになります。
昨年,日本相続学会の研究大会で基調講演をお願いした松沢哲郎先生も霊長類研究所の前所長で,日本モンキーセンターの現所長です。今年11月12・13日に霊長類研究所の隣にある日本モンキーセンターをお借りして日本相続学会第3回研究大会を開催することになっています。まさに共時性の原則を感じることになりました。
さて,著書の冒頭に出てくる「ふたつよいこと,さてないものよ」という法則は,一つよいことがあると一つ悪いことがあるもの,とも考えられるという話しです。『人間は,良いことずくめを望んでいるので,何か嫌なことがあると文句のひとつも言いたくなってくるが,そんな時に「ふたつよいこと,さてないものよ」とつぶやいて,全体の状況をよく見ると,なるほどうまく出来ている・・・』『何か祝い事があると,親類や隣近所にお餅を配ったりするような古来からある風習も,このようなバランス感覚・・・』
短期でみれば良いこと悪いことが出っ張ったり凹んだりしていますが,少し長い目で見るとバランスがとれている。ひとりの人生だけでなく,親や子,孫まで繋いでみるともっとバランスがとれているのかもしれません。
相続の場面にこれを当てはめてみると,相続争いで,ちぎりとるようにして財産を相続した人は,なぜかその後の人生でつまずいたり,予期せぬことが起きたりするのをなぜ??と思っていましたが,なるほど。他人の為になることを行うことと,自分にとって良いこと,がバランスされているようにも見えます。「情けは人の為ならず」ということになるのでしょうか。
まだきちんと整理できていませんが,良い本を読む機会をいただくことが出来ました。やっぱり偶然は必然ですね。よく考えると,私のまわりのことは全部偶然の産物です。もっと新しい出会いや偶然を受け入れることをしないと,限りある人生を楽しめないですね。