そんなに頻繁ではないですが、時々山登りをしますし、夏山より冬山の方が好きな方なので遭難に備えて保険に入っています。最初はよく分からなかったので、どこの保険にしようかいろいろ悩んでいたのですが、最近はjROの会員になっています。
jRO(ジロー): Japan Rescue Organization LLC(日本山岳救助機構合同会社)この会社の設立趣旨や活動内容に賛同出来ましたし、年会費2千円で会員になると独自の共済というか互助システムに加入できます。会員が遭難に遭遇し、会員が捜索・救助費用を負担する場合は、その費用実費を1会員1会員期間あたり330万円を限度に補てんされます。(アイゼン、ピッケルもOK)
毎年この時期に決算報告があり、剰余金や不足金のお知らせが来ます。(前年度分の支払予定と前々年度の決算によって不足金があれば翌年の会費の上乗せされる。ちなみに今年の追加は200円)今年も資料が送られてきたので見てみると、昨年度中に支払った実績(つまり遭難事故の内容)が詳しく紹介されていました。遭難された山域と時期が自分の経験と重なると他人事ではない気持ちになります。遭難の原因は、道迷い、転倒、滑落で7割くらいです。道迷いは下山時が多く、焦ってウロウロしているうちに暗くなり、疲れて焦って転倒や滑落というパターンが目立ちます。
まずは事前の情報収集と計画をしっかり立てることですね。計画段階から「行けるところまで行って・・・」というのはいけないと思っています。また可能な限り、高性能な装備を使うことが賢明だと思います。お金で買える安全は全部買え。と力説する先輩がいますが,行く山のレベルに合わせてそのように考えるということでは,私も同感です。衣類をはじめ様々な装備品は日進月歩で進化しています。高性能なものは軽くて快適ですので、無駄に疲れません。年齢が高くなるほど、こういうものをうまく使うべきだと思います。それでも、どんなに準備しても山に入れば携帯電話が通じないのは普通のことです。救急車は来ませんし、病院もありません。山登りをする時点で、ある程度の覚悟は必要だと思います。それを文字にするのが登山届ということですね。
自分の好きで危険なところへ行って遊んで、ヘリで救助してもらうのは税金の無駄使いだ!という話を聞くことがあります。殆どは山登りをしない人の意見ですが…。でも釣りや海水浴などの海難事故、ゴルフ場の事故やいろんなレジャーでの事故に救急車や海上保安庁が動くこともあります。でも他にもあるからというのは言い訳であって反論ではないし、反論するにはこれといった理由が浮かばないので,できる限りお世話にならないようにしたいと思います。
御嶽山噴火の時、ある新聞社のヘリから撮った「火山灰の中に生存者」という写真がありました。(新聞協会賞受賞)翌日救助されたその女性が生き延びたのは運だけではなく,日帰りの予定でしたが,ツェルト(簡易テント)とダウンジャケットを持っていたのが良かったそうです。(9月末の3000m級の山ですので、夜は氷点下だったと思われます。)9月末といえども,日帰りの登山でツェルトとダウンジャケットを持っていく人はそんなに多くないと思います。その点では,この女性は危機管理が出来ていたということでしょう。同じように装備の差が生死を分けた話は多くあります。またせっかく素晴らしい装備を持っていても、使わなければ意味がありません。高性能レインウェアを持っていても着たり脱いだりは面倒です。身体を冷やさないためには、それでも面倒がらずに立ち止まって着たり脱いだりすることが凄く大事です。
先ほどの彼女は救助される時、山にゴミを残してはいけないと、テントやダウンジャケットはザックにしまったそうです。自然の中で過ごさせてもらうという気持ちが大切ですね。