名義預金はよく話題になりますが、同じように保険料負担者と契約者は他の人というケースがあります。代表的なケースについて解説をします。

「◇保険種類‣終身保険  ◇契約者‣子  ◇保険料負担者‣父  ◇被保険者‣子  ◇死亡保険金受取人‣父」この契約で、父に相続があった場合の各種取り扱いについて整理します。

●税法上の取り扱い:父が保険料負担者であるため生命保険契約に関する権利として、相続発生時の解約返戻金相当額が相続財産に加えられます。

●民法上の取り扱い:この保険契約に関する権利を取得するのは、遺産分割協議の必要なく契約者の子です。遺産分割協議が不要である理由は、子は既に保険会社との関係において、契約者としての権利を有しているからです。(保険金受取人を変更したり、保険事故発生前に保険契約を解約することができるのは、保険料負担者ではなく保険契約者です。)

●遺産分割の現場から:このようにすれば遺言書を作成することなく、意図的に遺産分割協議の必要のない財産を取得させることができます。この場合、他の相続人は特別受益ではないか、この保険契約がなぜ遺産分割の対象にならないか等、困惑や疑問の元となり、相続人の間に争いが起きる可能性があります。ご注意ください。