何だかトンチンカンな話でふざけているようですが,「トンチン保険」というのは生命表の見方をちょっと変えて,何人亡くなるかではなく,何人生きているかという視点で見た時に生まれる保険の種類です。イタリア,ナポリ生れの銀行家 L.Tonti (17世紀中ごろ) が考案したと言われています。

ずっと前ですが永六輔さんの「大往生」という本の中で,同級生が毎年顔を合わせ1万円ずつ集めている。このお金は最後に生き残った人が総取りすることになっている。みんな長生きしようとするし,最後の人は誰も見舞いに来てくれないし,香典を持ってきてくれないからというような話しだったと思います。トンチン保険の考え方に似ています。その仕組みはこんなイメージです。例えば「65歳時に300万円払えば、85歳の時から毎年200万円の年金を一生涯にわたってお支払いいたします。ただし85歳までの間に死亡された場合、何も支払われません」という保険です。86歳まで元気だったら元金の回収は出来ます。何故かこういう目標は頑張りやすいですね。85歳というと賭けみたいな感じですが,設例を65歳⇒45歳にして,85歳⇒65歳にしてみると急に気になる存在になります。

長寿年金という言い方もします。米国では販売会社が増え,かなり契約数は伸びているそうです。実は日本でもかなり前からこのような保険を販売している会社があります。会社は有名ですがこの商品を殆どPRしていないので知っている人は少ないと思います。これから増える可能性大ですね。
よく考えれば「定期保険」の逆です。期間内に亡くなった人はゼロ。期間終了時に生きていた人だけに支払うということです。ということは普通の定期保険の一番安いのをくっつければ,途中での死亡に対応できるということになりますね。(ちょっと難しかったかもしれないですね)