相続法改正法案が国会で成立しました。参議院本会議での可決が7月6日でしたので,オウム真理教関連のニュースや豪雨災害のニュースの影響であまり報道されませんでした。
日本相続学会も2回パブリックコメントを提出していましたので,国会の様子が気になってウォッチしていました。そんなことを少しまとめてみました。
まずは ①民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案 ②法務局における遺言書の保管等に関する法律案 この二つの法律案となっています。①の「民法」のところに相続法の改正案が入っています。「家事事件手続法の一部」には遺留分と特別の寄与に関連した内容が入っています。②は新しい法律として別になっています。ということで2つの法律の改正と1つの新しい法律が一緒に審議されました。
3月13日に内閣から衆議院に議案が提出され,受理されました。その後6月6日から衆議院法務委員会が4回開催されました。
6/6 1回目:法務大臣による趣旨説明
6/8 2回目:質疑
6/13 3回目:参考人の意見聴取と質疑
①(神戸大学大学院法学研究科教授)…<法制審議会委員>
②(明治大学法学部教授)
③(北海道大学名誉教授)(早稲田大学大学院法務研究科教授)
6/15 4回目:質疑討論の後、いずれも可決,付帯決議
6/16 衆議院本会議にて可決。
参議院で6月19日に受理され, 6/26から参議院法務委員会が4回開催されました。
6/26 1回目:法務大臣による趣旨説明
6/28 2回目:質疑
7/3 3回目:参考人の意見聴取と質疑
①(東京大学大学院法学政治学研究科教授)…<法制審議会部会長>
②(弁護士)
③(立命館大学法学部教授・法学博士)
7/5 4回目:質疑討論の後、いずれも全会一致にて可決,付帯決議
7/6 参議院本会議にて可決
7/13 公布
原則として公布日から1年以内(ただし、居住権および自筆証書遺言の保管制度については公布日から2年以内、自筆証書遺言の方式緩和については公布日から6カ月以内)の政令で定める日から施行される。なお、預貯金の仮払い制度などについては、施行日前に開始した相続についても適用される(経過措置)。
ということなんですが,国会議員の皆さんも短い期間で勉強して,質問しなければならないので大変なことです。それから法務委員会での参考人のお話しはかなり興味深いです。特に法制審議会の部会長や委員が説明された内容は,要綱案作成の議論の経過を垣間見ることが出来ます。
法律を改正するというのは大変なことですね。平成25年末にスタートし, ●法務省・相続法制検討ワーキングチームから ●法務省・民法(相続関係)部会:法制審議会に引き継がれ,今年1月に要綱案がまとめられました。2回のパブコメを経て4年半ほどかかってます。これでも大がかりな民法改正をかなり早いペースで進めたということです。(でもすごいのは,あっという間に要綱案を法律案にまとめてしまう人たちの頭脳ですね。いろいろ批判もありますが官僚の人達の頭脳は凄いです。)